「おまえの結婚式、バージンロードは俺が歩く。」
当時まだ中学生だった丸に小関先生がそう言っていたのを、新米教師だった僕は今でもよく覚えている。
昨日、13年の時を経て、小関先生はその約束を果たした。
チャペルの扉が開き、小関先生が純白のウェディングドレスに身を包まれた丸と腕を組んで入場してきた姿は僕にとっても感慨深く、涙が出た。
小関先生は、ずっと前を見て、ずっと同じ笑顔で歩いていた。
嬉しそうだが、どこかぎこちない。
後で聞いたら、丸の顔を見れなかったのだと言う。
「まともに見たら泣きそうだったから。」
先生と生徒が腕を組み、バージンロードを一歩、また一歩と進んでいく。
丸のお母さんも、叔母さんも、涙が止まらない。
小関先生も、丸も、いつかこうして二人でバージンロードを歩く日が来ることを、13年もの間、きっと疑わなかったのだと思う。
中学校の制服を着た14歳の丸と、小関先生が交わした約束が、こうして当然のように実現する。
人が人を信じるということが難しいこの時代。
卒業後も変わることのない、この信頼関係は、テストで測ることも、お金で買うこともできない。
丸の結婚式が終わり、小関先生はしみじみと言っていた。
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