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2016年7月15日金曜日

生命は

       

        生命(いのち)は
        自分自身だけでは完結できないように
        つくられているらしい
        花も
        めしべとおしべが揃っているだけでは
        不充分で
        虫や風が訪れて
        めしべとおしべを仲立ちする
        生命は
        その中に欠如を抱
        それを他者から満たしてもらうのだ

        世界は多分
        他者の総和
        しかし
        互いに
        欠如を満たすなどとは
        知りもせず
        知らされもせず
        ばらまかれている者同士
        無関心でいられる間柄
        ときに
        うとましく思うことさえも許されている間柄
        そのように
        世界がゆるやかに構成されているのは
        なぜ?

        花が咲いている
        すぐ近くまで
        虻(あぶ)の姿をした他者が
        光をまとって飛んできている

        私も あるとき
        誰かのための虻だったろう

        あなたも あるとき
        私のための風だったかもしれない


        吉野弘 『風が吹くと』(1977年)より 

2014年1月28日火曜日

"Greeting" by Rin Ishigaki

Greeting
– On a photograph of atomic bomb –

By Rin Ishigaki (1952)


Ah,
This burnt, deformed face
Is one of the 250,000 people
Who were in Hiroshima
On August 6, 1945.

It is no longer of this world.

But,
Friend,
Let’s look at each other’s face once again
The face of today that shows
No trace of war fires
The face of crisp, pure morning.

Horror suddenly strikes me
When I look for tomorrow’s expression in that face.

How could you be
So peaceful and beautiful
When the earth, with hundreds of atomic bombs,
Walks on the verge of life and death?

Listen quietly
To see if something is approaching.
What you must discern is in front of you
What you must distinguish is in your hands
8:15am comes every morning.

In the morning of August 6, 1945,
Every one of the 250,000 people who died instantly
Was just like you, and me, now
Peaceful, beautiful, unguarded.


(Translation by Daiyu Suzuki)


挨拶

石垣りん


あ、
この焼けただれた顔は
一九四五年八月六日
その時広島にいた人
二五万の焼けただれのひとつ

すでに此の世にないもの

とはいえ
友よ
向き合った互いの顔を
も一度見直そう
戦火の後もとどめぬ
すこやかな今日の顔
すがすがしい朝の顔を

その顔の中に明日の表情をさがすとき
私はりつぜんとするのだ

地球が原爆を数百個所持して
生と死のきわどい淵を歩くとき
なぜそんなにも安らかに
あなたは美しいのか

しずかに耳を澄ませ
何かが近づいてきはしないか
見きわめなければならないものは目の前に
えり分けなければならないものは
手の中にある
午前八時一五分は
毎朝やってくる

一九四五年八月六日の朝
一瞬にして死んだ二五万人の人すべて
いま在る
あなたの如く、私の如く
やすらかに 美しく 油断していた。


2012年4月8日日曜日

再 『忙しいあなたへ』

昨日の投稿にもらったコメントの「看護師さん」に連絡を取ろうと思って探していたら、たまたま出てきた詩。ちょうど2年前の投稿だ。Breathe, everyone!!


2010年4月21日 『忙しいあなたへ』


桜はニューヨークでも人々に愛されている。
セントラルパークにて。



学期末、忙しい日々が続いている。

体から抜け出し、独り歩きし始める自分の心。

そんな時はこんな詩が、ちっぽけな自分に気付かせてくれる。



ベトナム出身の禅僧でありキング牧師に多大な影響を与えたティク・ナット・ハン(Thich Nhat Hanh)の翻訳者として知られるSister Annabel Laityの詩だ。 



Breathe! You are alive

              By Annabel Laity



Breathe and you know that you are alive.


 

Breathe and you know that all is helping you.


 

Breathe and you know that you are the world.


 

Breathe and you know that the flower is breathing too.


 

Breathe for yourself and you breathe for the world.


 

Breathe in compassion and breathe out joy.


 


 


 

Breathe and be one with the air that you breathe.


 

Breathe and be one with the river that flows.


 

Breathe and be one with the earth that you tread.


 

Breathe and be one with the fire that glows.


 

Breathe and you break the thought of birth and death.


 

Breathe and you see that impermanence is life.


 


 


 

Breathe for your joy be steady and calm.


 

Breathe for your sorrow to flow away.


 

Breathe to renew every cell in your blood.


 

Breathe to renew the depths of consciousness.


 

Breathe and you dwell in the here and now.


 

Breathe and all you touch is new and real.


 

2011年1月22日土曜日

先生という仕事


自由の女神から見た虹


先生という仕事


世間では、先生の仕事は教えることだという

でも、おそらくそれは間違っている

人は人のために何ができるのか

教えることなんてできやしない

教員だった私が、年月をかけ

子どもたち、一人の先生、そしてその娘さんから学んだこと

それは愛することだった

子ども一人ひとりの無限の可能性を信じ

妥協せずに愛すること



あとがき

書きながら、過去に小関先生から頂いた一通のメールを思い出した。

去年2月、このブログ上で精力的に自分の教員時代の回想をまとめていた時のこと。

小関先生から、「今だったらあの子たちともっと違った係りができただろう」 という内容のメールを頂いた。

僕が、「愛してやれなかったのだ、と反省ばかりです。」 と応えたところ、こんな返信があった。


「愛してやる」 のではなくて、ただ、「愛する」 だな。


この、ちょっとした言葉の違いには天と地の差があった。

一年経った今、自分はようやくそれに気付いた。

2010年1月28日木曜日

祝!! 投稿100件     One

昨夜は見事な満月だった。

驚いたことに、ニューヨークでも

月面ではうさぎが餅をついていた。

ちょっと角度が違うだけで、見ているのはおんなじ月だった。


                 

                                      大裕  

2009年12月9日水曜日

来るはずのない春の到来を信じて





異常なほど暖かい冬に、誤ってつぼみをつけてしまった木。



初雪が降り、やっと冬らしい寒さがやって来た。

あのつぼみたちはどうなったかと思い見に行くと、

小さな小さな花を咲かせていた。



寒い中、一生懸命咲こうとする花たち。

来るはずのない春の到来を信じて、凍えながらも笑ってる。

その無垢な姿は、悲しいほど美しかった。


2009年11月29日日曜日

私はなりたい② ~2年C組  5 / 2005~



私はなりたい。


自由気ままなゾウに 私はなりたい。

大空を自由に飛ぶ鳥に 僕はなりたい。

人の手に渡って ただで色々な場所へ行けるお金に 私はなりたい。

世界中を素早く飛び回る光に 僕はなりたい。

自由に 空をゆっくりと浮かんでる 白くてふわふわな雲に 僕はなりたい。

自由に飛んで 自由に動いて 好きな時に形を変えられる 
マイペースな雲に 僕はなりたい。

見ると得した気分になれる きれいな夜空に 私はなりたい。

いつも夜になると きれいに光る星に 俺はなりたい。

どんな時でも人々を信じることができる星に 私はなりたい。

7色の光が幸せをあたえてくれる 光りかがやく虹に 私はなりたい。

みんな必要で大切な水に 私はなりたい。

いるかいないかわからないけど なきゃ生きていけない 
みんなに必要とされる空気に 私はなりたい。

誰からも大切にしてもらえそうな古いつぼに 僕はなりたい。

だれからも好かれる人気者で みんなに夢をくれるミッキーに 私はなりたい。

すごいシュートが打ててカッコイイ サッカーのスパイクに 俺はなりたい。

必ず人を笑顔にしてみせるメロンパンに 私はなりたい。

無重力の世界にいるかっこいい宇宙人に 僕はなりたい。

花粉症を一滴で完全に治す目薬に 僕はなりたい。

人々に情報や楽しみを伝えられるテレビに 僕はなりたい。

心からみんなをすくえるほどの笑顔をもつ 
天使のキーホルダーに 私はなりたい。

いつもみんなの顔をながめられる時計に 俺はなりたい。

ちょっとしたことですぐに熱くならない氷に 僕はなりたい。

絶望の中で光る希望の歌に 私はなりたい。

雨にも風にも負けない しっかりとした木に 僕はなりたい。

きれいな音色を出して 人々の心をいやせる 優しいピアノに 私はなりたい。

広く青くきれいな 人を元気づけられる海に 僕はなりたい。

いつまでも思い出を残してくれる 皆が笑顔のクラス写真に 私はなりたい。

人の心も なんでも洗えるせんたく機に ボクチンはなりたい。

さわやかに吹き抜け ときには闘い ときには汗をかわかし 
ときには疲れをいやす そんな風に 私はなりたい。

どんなに重い人が座っても 文句一つ言わないイスに 僕はなりたい。

言われると 誰もが心があったかくなってうれしくなる 

「ありがとう」という言葉に 私はなりたい。

大きな心を持ち みんなを包みこむ大きな広い海に 私はなりたい。

すべてのものを優しく包みこめる 広々とした青い空に 僕はなりたい。

私はなりたい。

2年C組  5 / 2005



2009年11月18日水曜日

私はなりたい ~1年C組 11 / 1 / 2004~






初めて中学一年生を担任させてもらった時、素直で、キラキラしている子どもたちを前に、いつかこの35人全員による詩を残そうと心に決めた。以下は一人ひとり違った感性、違った将来を夢見る子たちによるモザイク詩だ。





私はなりたい。


どこまでも尽きることのない、深みのある宇宙に、僕はなりたい。

青白くて、すごく熱い、1番キラキラ光っている星に、私はなりたい。

あたたかい光で見守ってくれる、そんな月に、私はなりたい。

いつも明るく光っている太陽に、私はなりたい。

あったかくてポカポカしてる太陽に、私はなりたい。

暖かい日ざしで陸を見守れる、優しい太陽に、私はなりたい。

とっても青い、のんびりしてられる空に、僕はなりたい。

上から都会、田舎、海を見わたせる、青く澄んだ空に、私はなりたい。

笑顔も泣き顔もすべて見せ、世界中を受け入れる広い空に、私はなりたい。

いつもぷかぷか浮いている、様々な形の雲に、僕はなりたい。

自由に空を飛んで、どこにでも行ける鳥に、僕はなりたい。

空を自由に飛べる、力強いワシに、僕はなりたい。

速く、自由に空を飛び回る鳥に、僕はなりたい。

空を飛んでいろんな所に行きながら幸せを運ぶ青い鳥に、私はなりたい。

幸せを望んだら幸せにしてくれる青い鳥に、私はなりたい。

全ての国が平和に、不幸な人がいなくなるように
幸せを運ぶ青い鳥に、私はなりたい。

ゆっくりと地上を見下ろせる、世界で一番大きい山に、僕はなりたい。

世界中をめぐり、世界中の人の心の背中を
そっとおすような希望の風に、僕はなりたい。

墜落・ジャック率0%で、毎日客を安全に送りながら
世界を行き来できる飛行機に、僕はなりたい。

人々を迷うことなく進路に導き、何年たっても光り続ける灯台の光に
僕はなりたい。

寒い時にあったかく、暑い時にはすずしい、やさしいひかげ、
ひなたに私はなりたい。

広い心を持った、青々とした海に、私はなりたい。

家では好きなだけ寝て、エサがもらえて好きな時に好きなだけ出かけて、自由気ままに生活している、人や物に害を与えない外出猫に、私はなりたい。

足がとっても速く、かっこいいチーターに、僕はなりたい。

長生きできる、マイペースなカメに、僕はなりたい。

シャーペンだけど、いちよーなんでもできそうなリンゴ王子のシャーペンに
私はなりたい。

かわいがられて大切にしてもらえる、
恋人がいるペアの男の子熊のぬいぐるみに、私はなりたい。

坂道を走るととても気持ちのいい自転車に、僕はなりたい。

人間そのものを表し、みんなによく使われるすばらしいことわざに
僕はなりたい。

長生きしていろんな時代のことがわかる、生命力のある樹木に
僕はなりたい。

見た人が心から喜ぶような、きれいな桜に、僕はなりたい。

見ているだけで幸せな気持ちになれる、きれいな花に、私はなりたい。

踏まれても曲げられても成長し続ける、丈夫で強い雑草に、僕はなりたい。

いろいろな命をつくりだす土に、私はなりたい。

さまざまな生物に必要な、生命の水に、僕はなりたい。

私はなりたい。


1年C組 11 / 1 / 2004





 
 





2009年10月27日火曜日

And We Go On (English version)

Computer screen.

Block letters everywhere.

In the beginning there were a few,

Perfectly under my control.

But with tremendous vitality and speed

They reproduce.

Then the advancing and shooting begin.

In the fierce shooting of letters and numbers,

I am trapped.

Everything has disappeared in the sudden darkness.

The window, the keyboard, even the coffee cup before me.

Bushwhacking, I finally find an escape between two letters.

Seeing a line of open wires, I choose one and slip inside.

Falling and falling, I arrive at a mechanical factory

Sustained by gigantic screws.

gieeggashun, gieeggashun, gieeggashun!

gieeggashun, gieeggashun, gieeggashun!

gieeggashun, gieeggashun, gieeggashun!





With hands in my pocket, a muffler around my neck,

I go outside.

Wind welcomes me back

And tells me I’m alive as well as others.

Sky.

Huge sky,

Whose blue so true,

Squeezes a bitter smile out ’f me.

I shake my head

And laugh.

“That’s all right”

With few words, the sky pats my head.

“Go on”

And I go on.

12/10/01 – 12/13/01



And We Go On



コンピュータースクリーン。

次々と目に飛び込んでくる活字は僕の逃げ場を奪い、僕を閉じ込めようとする。

いつのまにか辺りは暗くなり、物が次々と消えてゆく。

窓も、キーボードも、目の前にあったコーヒーカップも。

僕は活字と活字の間を分けはいり、張りめぐらされたワイアーを滑り落ち、

巨大ネジに支えられる機械工場にたどり着く。


ギーッガシャン ギーッガシャン ギーッガシャン

ギーッガシャン ギーッガシャン ギーッガシャン

ギーッガシャン ギーッガシャン ギーッガシャン。





マフラーを巻いて外に出た。

でっかい空。

雲ひとつない。

僕は思わず苦笑いだ。  

答えなんてない。

「それでよいのだよ」

言葉少なげに、空が僕の頭を撫でてくれた。



12/10/01 – 12/11/01

2009年10月25日日曜日

形にできない想いを乗せて⑥ ~空の青~



空よごめんよ


おまえを青としか呼べなくて


          
         2004年2月作

2009年10月14日水曜日

太陽と月

空を見上げていて、この青い空も少し先は闇なんだなぁと思った。

宇宙の深さはあの太陽の光でさえ吸い込んでしまう。

その光を受け止めてくれる月がいなかったら

太陽はどこまで行き場を探し続けていただろうか。

月も 太陽が見つけてくれなかったら 今頃どこをさまよっていただろう。

太陽と月のいにしえの恋。

君がいてよかった。

11/14/2001 – 12/11/2001

鈴木 大裕