バーを出たら外は大雪だった。
一軒目を出た時に降り始めた雪は、いつしか10cm程積っていた。
夜10:30をまわっていただろうか。
その日出会ったばかりの素晴らしい友人に別れを述べ、雪の中を歩いていたら無性に腹が減った。
さっき食べたあの肉厚バーガーはどこへ行ってしまったのか。
途中、一瞬迷ったが、わざわざ110th とColumbusの大きな交差点を渡り、開いてるか開いてないかもわからないピザ屋に立ち寄った。
客は誰もいなく、イスは全て机に上げられていた。
“Are you guys still open?” (まだ開いてるのか?)
と僕が訊くと、二人いた店員の一人がジャケットを脱ぎながら、“OK.”と気のない返事をした。
スライスをオーダーすると、その店員が一枚切ってオーブンに放り込んでくれた。
白人の30代かと思われる兄ちゃんで、アクセントから察するところではイタリア系の移民だろうか。ハーレムでは珍しい。
何時に閉まるんだ?と訊くと、壁の時計を見て、あと2分だと言った。
住んでるのがここら辺だといいけど、と雪を心配して僕が言うと、ブロンクスだと教えてくれた。
この雪の中ブロンクスまで帰るのかと思うと気の毒になり、それは悪かったと言ってピザをオーブンから出すように伝えた。
すると、彼は迷わずNoと断り、こう言った。
“Either you do it right, or you don’t.”
(やるんだったら正しくやる、そうでないんだったらやらない、そのどちらかだ。)
外に出た僕は、歩きながら熱々のピザをほおばった。
そのピザのおいしかったこと!
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