2011年1月13日木曜日

Something beautiful 8 ~街角のプロフェッショナル~

 バーを出たら外は大雪だった。

一軒目を出た時に降り始めた雪は、いつしか10cm程積っていた。

夜10:30をまわっていただろうか。

その日出会ったばかりの素晴らしい友人に別れを述べ、雪の中を歩いていたら無性に腹が減った。

さっき食べたあの肉厚バーガーはどこへ行ってしまったのか。

途中、一瞬迷ったが、わざわざ110th とColumbusの大きな交差点を渡り、開いてるか開いてないかもわからないピザ屋に立ち寄った。

客は誰もいなく、イスは全て机に上げられていた。



   “Are you guys still open?” (まだ開いてるのか?)



と僕が訊くと、二人いた店員の一人がジャケットを脱ぎながら、“OK.”と気のない返事をした。

スライスをオーダーすると、その店員が一枚切ってオーブンに放り込んでくれた。

白人の30代かと思われる兄ちゃんで、アクセントから察するところではイタリア系の移民だろうか。ハーレムでは珍しい。

何時に閉まるんだ?と訊くと、壁の時計を見て、あと2分だと言った。

住んでるのがここら辺だといいけど、と雪を心配して僕が言うと、ブロンクスだと教えてくれた。

この雪の中ブロンクスまで帰るのかと思うと気の毒になり、それは悪かったと言ってピザをオーブンから出すように伝えた。

すると、彼は迷わずNoと断り、こう言った。



   “Either you do it right, or you don’t.”
(やるんだったら正しくやる、そうでないんだったらやらない、そのどちらかだ。)



 外に出た僕は、歩きながら熱々のピザをほおばった。

 そのピザのおいしかったこと!

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