今日、9月11日はMaxine Greene教授との今学期最初の授業だった。彼女のアシスタントとなって2年目の今年は、彼女の方から「一緒に教えよう」と声をかけてくれた。彼女が94歳という高齢なこともあり、やることは尽きない。今はほぼ2日に1度の頻度で彼女に会っている。
それにしても、最初の授業が9月11日とは、何という偶然だろう。
Maxineと話し合い、9.11にちなんで、今回のテーマを、 “Teaching and Learning on the Verge”(瀬戸際の教えと学び)と名付けた。
扱った題材は3つ。
Forever After: New York City Teachers on 9/11 (Preface by Maxine Greene, 2006, TC Press)
Dialectic of Freedom, Chapter 1 (Maxine Greene, 1988, TC Press)
“Teaching in a moment
of crisis: The spaces of imagination” (Maxine Greene, 2005, The New Educator)
今学期は生徒が26人もいるので、ありきたりの自己紹介ではなく、「9.11と自分」というテーマで、あの日あの時の自分を話してもらうことにした。
年代も20代前半から50代、国籍もアメリカ人の他に日本、中国、エクアドル、コロンビア、イスラエル、バーレーンと実に多様なグループだ。
知人をなくした人もいれば、テスト中にそのニュースが教室に届けられたにもかかわらず、何事もなかったようにテストを続けるように指導されたアメリカ人学生、当時イスラム教原理主義の学校に通っていて、学校全体が祝福ムードとなったというバーレーン出身の女性もいた。
場所も年代も異なり、しばしばぶつかり合う世界中の様々な観点。それらを持ち寄り、9.11という悲劇を一つのモザイク画にする…。その絵が完成することはないが、新たな観点が寄せられる度に、空白が埋められていく。
Maxineのある言葉を思い出した。
“No one of us can see the
whole or sing the whole. Since I was a little child, I have known that all
perspectives are contingent, that no one’s picture is complete.” Maxine Greene
Releasing the imagination: Essays on education, the
arts, and social change.
「全てが見え、全てが歌える者は私達の中には一人もいない。全ての視点は環境次第であり、誰の絵も、完全なものはないということに、私は幼い頃から気付いていた。」 マキシーン・グリーン
『イマジネーションを解き放つ ~教育、芸術、社会変革についてのエッセイ集~』
これは僕の博士論文とも深くかかわってくる。
9.11をとってもわかるように、僕らには一人ひとり違った物語がある。
でも、なぜ僕らは自分達が語る物語を語るのか。その物語が生まれる背景にはどんな力が働いていたのか。それを追求した時、どんな世界が見えてくるのか…。
幸い、リスクをとることを恐れない、勇気ある生徒達だ。
次はAlbert CamuのThe Plagueという小説を皆で読む。
当たり前の日常が音を立てて崩れ去った時、人々はどうするか。
生きること、そして 「自由」 の意味を考えていく。
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