木曜日、4歳の長女を連れて、あるデモに参加した。
集まったのは親、子ども、教育学者などおよそ300人。
場所は、教育系の会社では世界最大を誇るピアソンのマンハッタン本部だ。
No Child Left Behind (NCLB: 「落ちこぼれ防止法」)施行(2002年)以来、アメリカでは過剰なほどに試験が行われるようになった。今回のデモの内容は、大まかに言えばアメリカにはびこるテスト至上主義に反対するという趣旨のものだった。
『ウォール街を占拠せよ』が政治の中枢であるワシントンDCではなくウォール街を選んだように、今回のデモも、政治を金で動かすコーポレートパワーの象徴としてピアソンを選んだ。
小規模だったが、マーチングバンドまで登場して、多くの大人と子どもがお祭り騒ぎでピアソンの周りをグルグル回る姿は、多くの人々の注目を集めた。
また、メディアもたくさん来ていて、デモの様子はすぐに報道された。
(その他の報道は全てここにまとまっている)
このデモと同時進行で行われている一つのプロテストがある。ピアソンによる調査試験の一斉ボイコットだ。
今月、ピアソンは来年使うテストのための調査を、NY市中の小学校で行う。実に一週間まるまる授業の時間を使い、子どもたちに調査テストを受けさせるのだ。
しかし、3年生から8年生(日本での中学2年生)の子どもたちは4月に2週間も続いたテストを終えたばかり。しかもそれだけ時間がかかったのは、問題の中に既に来年の調査問題が含まれていたからだ。
テストにそれだけの時間をかけるぐらいだったら、もっと意味のある教育を子ども達に!というのが多くの親たちの願いだ。
しかも、この問題には莫大な利権が絡んでいるわけで、そのために子どもたちを実験用モルモットにするのかと親たちは怒っている。どのくらいの規模の利権かといえば、ピアソンがニューヨーク市のDepartment of Educationと結んだ契約は、実に5年間で32百万ドル(約25億5千万円)だ(Huffington
post)。
そして今回、このデモを企画したNYの3団体(Change the Stakes,
Parent Voices New
York and Time Out
From Testing)が協力して運動を推進した結果、61校の親と子どもたちがピアソンによる調査テストをボイコットすることになった。
ガンジーの非協力の理念を思い出させるこの運動、教育における真のパワーは、実は親と子どもにあることを教えてくれる。
2014年には、ピアソンによる幼稚園児対象のテストが始まるそうだ(NY Times)。
0 件のコメント:
コメントを投稿