“Do not wish to be a student in contrast to being a man. Do not study as a student, but as a man who is alive and who cares.”
「生徒であろうとする前に、人間であろう。一人の生徒としてではなく、命の通った、愛情深い一人の人間として勉強しよう。」
これは、Thomas Hayden(トーマス・ハイデン)という一人の学生の言葉だ。彼は、1960年代にアメリカの公民権運動で活躍したStudents for a Democratic Society(民主的社会を目指す学生の会)の創始者で、これは1962年のミシガン大学でのスピーチからの抜粋だ。
この言葉を教えてくれたのはこのブログに何度か登場しているMaxine Greene(マキシン・グリーン)だ。一か月以内に94歳になる彼女は、今いるコロンビア大学ティーチャーズカレッジの名誉教授(教育哲学)で、現役の教授の中ではダントツの最年長だ。実に1917年生まれだ。今を生きる我々の多くにとっては歴史上の人物であるJohn Dewey(ジョン・デューイ)の元隣人であったり、Paulo Freire(パウロ・フレイレ)の誕生パーティーを2回ほど家でやってあげたりしたと言うから驚くばかりだ。
ただ長生きしているだけではない。American Educational Research Association (AREA), Philosophy of Education Society, American Educational Studies Association (AESA), and the Middle Atlantic States Philosophy of Education Societyという4つの学会の会長を歴任、現在11の名誉学位を持つスーパーウーマンだ。(詳しくは彼女の財団のHPから)
彼女との最初の出会いは15年前、僕がまだ学部生の時に読んだ彼女のThe Dialectic of Freedomという本だった。様々な文学やアートを織り込んで描き出す独特な哲学観は僕に大きな衝撃を与えた。
2008年にティーチャーズカレッジに入学した時、僕が真っ先に取ったのは言うまでもなく彼女の授業だった。週一回、5th Avenueのセントラルパークが一望できる彼女のマンションで行われる授業では、幅広い年齢層で実に多様な歴を持つ人々がそれぞれの肩書を捨てて集まり、文学やアートが創りだす創造的な空間の中で、人間の根源的な問題を語り合った。
それ以降、何か機会がある度に彼女とダイアローグを続けてきた。
そして今、僕は彼女の助手をしている。
そして今、僕は彼女の助手をしている。
2011年春。卒業式の前に。
(続く…)
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グリーン教授から、たくさんのお話を直接伺えることでしょう。このような素晴らしい環境にいらっしゃるのは、先生が何を求めどのような生き方をしたいかをしっかりと持って動き続けてきたからですね。どうかグリーン教授の経験、深く熱い思いを受け継いで、広く様々な方法で伝えて下さい。日本でも他でも楽しみに待っている人がたくさんいます。里枝
返信削除里枝さん、
返信削除彼女との出会いには本当に運命のようなものを感じます。今、彼女が何を考え、伝えようとしてきたのかを日々一生懸命考えています。おそらく僕が彼女にとって最後の生徒になるのではないかという、並みならぬ責任も感じています。
大裕