変に思われるかもしれないが、今回シングルファーザーを経験して良かったことの一つは、自分のキャパが非常に限られたことだ。それによって、何が大事なのかがはっきりした。
今回、僕にとって何よりも大事だったのは、母親がいないからといって子ども達に寂しい想いをさせないことだった。もっと前向きな言い方をすれば、3週間留守にしている母親の分まで子ども達に愛情を注ぐことだった。
そういう目標設定の中、僕は省ける分は全て省いた。子ども達のリクエストの半分くらいは却下したかもしれない。
例えば、「えほんをよんで」、「てんとをつくって」、「くまちゃんのおとうさんになって」などという遊びのリクエストは容赦なく断った。
ごめんね。今パパお料理しているからね。
ごめんね。今パパ美風達のおべんと箱洗ってるからね。
ごめんね。パパ用意しないとバスに遅れちゃうからね。
でも、抱っこしてというリクエストだけは、ほんの少しの間だけでも応えるようにした。
リクエストの多くは次女の美風からきた。自分のキャパが限られている分、美風の面倒はほぼ全て愛音に見させた。
朝の着替えを用意すること、服のボタンをとめること、(自分と一緒に)お風呂に入れること、飲み物を用意すること、ふたなどを開けること…。挙げだしたらキリがない。
お姉ちゃんにやってもらいなさい、というのが常になった。
これは、美風だけじゃなく、愛音にとっても良かった。
うちの子達は、2歳も離れていない。22ヶ月違いだ。だから美風は年の近いお姉ちゃんをよく観察して、お姉ちゃんがする全てのことを真似をする。次女らしく要領も良いし、運動神経も良い。まだ3歳前だが、高い所だってどんどん登るし、スクーターだって愛音と同じくらい上手に乗りこなす。
その分、自分はお姉ちゃんと同等だと勘違いするところがある。そんな美風は、今回の経験を通してお姉ちゃんの存在を認め、愛音はお姉ちゃんとしての自信をつけることができたように思う。
そんな意味で、二人とも、少しだけ前よりたくましくなった。
(続く…)
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