昨日、12歳の甥っ子が帰国した。
僕は、卒業式当日の担任の心持で最終日を迎えた。
あの時ああしてればと考え出せばきりがないが、自分の未熟さの範囲で、できることは全部やった。最後、卒業生は何を胸に飛び立つのか…。
最初は軽く考えていた今回のホームステイだったが、実際にはかなり大変だった。それは、一流の指導者に学んだ者としての自身の責任感と、姉への恩返し、甥っ子への愛情が根底にあったからだと思う。
僕が中学生を目の前にする時、常に彼らに言い聞かしてきたのは、 『今こそが未来』 ということ。「未来」なんて「今」の積み重ねに過ぎない。だから今この瞬間をどう生きるか、それが将来そのものだと思っている。「いつかきっと」なんてミラクルはあり得ない。
今回もそのスタンスで甥っ子と係わった。だから、「ああ、楽しかった」で終わるただの観光旅行ではなく、普通ではできない色々なことに挑戦させ、それが良い想いでも悪い想いでも、何か強烈に心に残るような体験をさせようと心に決めた。もしかしたら自分の無力さを感じる悔しい旅になっても良いとも思った。
初日から彼の覇気の無さが気になり、一つのテーマを与えた。
「失うものは何もないから、リスクを冒して冒険すること」
でもそれがなかなか難しい。いざ誰かに話しかけざるを得ない場面になるとモジモジモジモジ…。
彼にとっては自分の弱さと向き合う、大変な旅だったと思う。ここではとても書ききれないが、滞在中、実にいろんなことを彼にやらせた。
進んで人に自分の写真を撮ってもらい、何か物を買う時は全部自分でやり、トイレの場所なども自分で質問し、コロンビア大学の図書館で世界の学生達と肩を並べて勉強し、学生食堂でも一人でご飯を食べ、「初めてのお使い in ハーレム」を遂行し、僕の視覚障害者の友人と2人きりでNY自然史博物館に行き、NYメトロポリタン美術館も2日に渡って一人で探索し、お粗末な公教育の現状を危惧する人々のデモに日本人中学生としてただ一人参加するためにワシントンDCに行き、わけもわからないまま人々と一緒にホワイトハウスに行進し、日本の大手学習塾の全国模試でトップ30人に選ばれた小学四年生たちの10日間のアイビーリーグツアー最終日の「決意表明」に立ち合い、世界の第一線で研究している日本人物理学者と食事をし、最後はブロードウェーミュージカルで他の客と一緒になってスタンディングオベーションをした…。
今回のホームステイ、二つ嬉しかったことがある。
一つは、日本で英語習ってるけど、実際にこっちに来てどう思った?との質問に対して彼が、「英語の問題じゃなくて気持ちの問題だってわかった」と答えたこと。
もう一つは、デモのことに対して感想を求めた時、「本当はあれが普通なんだと思う。日本ではテレビなんかでみんな首相の悪口を言ったりするだけで何もしない」との答えが返ってきたこと。それがわかっただけでも、ワシントンDCに連れて行って良かったと感じた瞬間だった。
この旅が彼の人生にとってどんな意味を持つのか…。彼がその答えを理解するのは、きっと何年も先のことなのだと思う。
それでいいのだ。
ここを読む限りでは、甥御さん、かな~り濃い経験をされたようですね。
返信削除それをちゃんと吸収できたってだけでもすごいと思います。
楽しかったようで何よりです!
Kaguyaさん、
返信削除初めまして。コメントありがとうございます。濃いぃ経験をしたのは間違いないですが、それをちゃんと吸収できたか、楽しかったかはクエスチョンマークです。だと良いのですが…。
大裕
勇太郎くん、もう中学生なのね!スパルタ叔父さんに頭が下がります。はは~
返信削除まだまだ。小関先生を見てると、俺が子どもに求めるものは全然レベルが低いなと感じる今日この頃さ~。
返信削除アメリカの教育。。そして大裕さんの教育。。。面白いですね。最近覇気のない自分を反省し、頑張ります!
返信削除Kyokoさん、 コメントありがとう。教職を中断してのイギリス留学、恭子さんの人生の大勝負だよ。ファイト!!
削除大裕