大裕
--------------------------------------------------------------------------------------------「あれだけのスピーチ、12歳の女の子が考えるなんて本当にすごい。カナダで準備してから行ったの?」と聞いたら、「実はあれはね、会場にむかうタクシーの中で考えたの。みんなで言いたいことをノートに書いて、書いて、書いて、ギリギリまで順番を並べ替えたりして」と話していました。
カナダに住んでいた12歳のセヴァンは、世界で初めての国連環境会議の開催にワクワクすると同時に、憤慨してもいました。「子どもの未来について話し合う場なのに、子どもが招待されていないなんておかしい!」と考えたセヴァンたちは、自分たちでお金を集めて、リオまで飛ぶことにした。そして、大人たちのNGOにまじって、会場外に自分たちのブースを出展しました。でもそれじゃあリーダーたちに自分たちの声が伝わらないと考えて、毎日、「自分たちを本会議場に招待してほしい」と本会議場に入っていく大人たちに向けてロビイング(!)したのです。それが功を奏して、最終日になって「あなたたちの声が聞きたい」と受け入れられ、突然スピーチできる運びになった。
セヴァンの環境活動の原点は、8歳のときに家族で訪れたアマゾンの地。環境活動家だった両親は、アマゾンのダム建設反対の運動でカヤポという先住民の人々と親しくなっていて、彼らの村に遊びに行ったのだそうです。裸の体にたくさんの模様を描いたあたたかい人々に受け入れられ、大興奮したセヴァン。弓矢で魚を捕まえる方法や、カメが卵を隠す場所のみつけかたや、昼ごはんのパパイヤをナタで採るやりかた、ピラニアの釣り方などを教わり、カヤポの人々が何千年と生きてきたのと同じようにしてセヴァンたちも滞在期間を過ごしたそうです。ブラジルのアマゾンと恋に落ちたセヴァンは「大きくなったら生物学を学ぼう」と心に決めたといいます。その翌年、5年生になったセヴァンはさっそく友達を誘って環境NGOを立ち上げました。
・・・子どもにとって、原体験がどれだけ大切かを思い知らされるようなエピソードです。はっと息をのむような美しい景色や、まったく新しい発見に出会うとき、子どもたちは大人の何十倍もすごい感受性でそれを体験しています。
それじゃあ、ひとりの大人として「できること」は何か。いろいろあります。マイはしやマイバッグも大切だけど、それだけじゃあまりに情けない。まずは、この世界がどれだけ素晴らしいかということを子どもと共有できる大人でありたい。「自分は子どもたちにどんな世界を見せることができるか」ということをすべての大人が真剣に考えるとき、きっと「環境問題」に終止符が打たれるんじゃないかと思います。
ある先住民族の伝統に、
返信削除「3世代あとのことを考えて今を生きなさい」
という言い伝えがあると聞いたことがあります。
昔の人はきっと、本当に大切なものがどんな風に存在していくか、すでに気づいていたのかもしれません。
今ある社会もきっと、かつての私たちの家族が、少しでも“未来が良くなるように”と願ったすえにたどりついたかたちなのかもしれません。
だからこそ、今自分がいる環境を甚だしく否定するような気持ちはなく、感謝の気持ちだって忘れられません。
しかし、今はもう、かつてと同じ未来を見据える時ではないのだと思います。
自分の夢を声に出して語ることで、チャンスがぐんぐん近づいてきてくれるように、環境問題解決への道も子供たちや自然などを通して未来の地球に思いを馳せることで、どんどん拓けていくのだと信じています。
「今」という一瞬の積み重ねを生きるひとたちの使命は、生まれつき「受け継ぐこと」であったのかもしれませんね。
寺澤さん、
返信削除寺澤さんが言いたいこと、わかるような気がします。
先人から渡される約束のバトン。たくさんの想いが詰まっているそのバトンを持って、自分は今、どんな走りを見せるのか。その走りこそが、バトンの重みとなって次のランナーへと受け継がれていく。
きっとそんなことなのではないでしょうか。
大裕