2011年11月30日水曜日

【NYから生中継】 軍事産業の会議に抗議するデモ

NY時間 11月30日(水)午後6時10分現在のNYにおけるデモの様子。

"Aerospace and Defense Finance conference"という、軍事産業上位30の企業の社長らが集まる会議に講義するデモ。


Watch live streaming video from globalrevolution at livestream.com

イギリスで200万人規模の労働スト


全て繋がっている。


今日、イギリスで最大200万人の労働者が24時間ストを決行した。このストは教員、病院のスタッフ、ゴミ収集労働者、消防士、そして警備員など多くの公務員を含んでおり、30の労働組合の連携によって行われた。


このニュースで面白いのは、なかなか大胆に行動を起こせずにいた労働組合の背中を、どこからともなく湧き起こった学生運動が大きく後押し、1920年代以降最大の労働ストにまで発展させたということ。


若者たちによって始められたOccupy Wall Streetが関係していないとは思えない。そして、それは元を辿れば、若者たちがソーシャルメディアを駆使して短期間のうちに爆発的な運動となったチュニジアやエジプトの民主化運動に代表される「アラブの春」であり、それに勇気づけられた今春のウィスコンシンの運動だ。若い人たちの力が、上の年代の人々が始めた運動と合流し勇気を与えているのは間違いなく世界的なトレンドであり、インターネットで世界がリアルタイムで繋がっている今、世界各地の労働・民主化運動が有機的にお互いを刺激し合っている。


現在アメリカにいる自分にとって一つ気になることがあるとすれば、それは日本だ。日本はこの波に乗れているのだろうか。


「日本では無理だ、皆、政治の在り方に対する関心や意識がそこまで高くない」と思うかもしれない。それはつい最近までアメリカも同じだった。1960年代の公民権運動以降、初めてのことだ。先ほど書いたように、イギリスでは実に1920年代以降のことだ。アメリカでは多くの人々が言っている。「今までにこんなの見たことない。」


もっと大きな波がやってくるのは時間の問題だと思う。ただ、その大波に乗るか、乗り過ごすのかでは、間違いなく、今後の社会の熟成に大きな影響を及ぼすだろう。



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2011年11月29日火曜日

Occupy Wall Street 参加者は本当にバカばかりなのか? Part 2

前回に引き続き、New Schoolで行われたシンポジウムの様子を伝えたい。

オスカー受賞ドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーアの次に話したのはPatrick Brunerという一人の青年。聞き慣れない名前なのも無理はない。彼は 『ウォール街を占拠せよ』 運動に初日からかかわってきた一人だ。彼の話を聴きながら、僕のOccupy movementsに対する期待は更に高まった。主要メディアが描く、仕事も目的もなく、だらしのない若者とは違う。ナイーブでもなかった。


"Occupy Everywhere"

10月15日に起こった、『ウォール街を占拠せよ』の本拠地でもある「リバティースクエア」テント村の強制撤去に触れ、あの場所はただのシンボルであって、強制撤去そのものが運動全体について何の影響もないことを語っている。
 

「僕は、リバティースクエアが最大の問題だと思うんです。僕は、ウォール街の占拠はあそこで行われているんだと思っていることこそが問題だと思います。でも、そうじゃないんです。あなたが選ぶ所ならどこでも良いのです。」

"I think the biggest problem is the Liberty Square. I think the biggest problem is that people think that’s where the occupation of wall street happens. That’s not where it happens. It happens wherever you choose that happens."


パトリックのこの言葉は、まさしくこのシンポジウムが “Occupy Everywhere” と名付けられた所以であり、それは「ウォール街を占拠せよ」運動が新たなフェーズに入ったことを意味している


「2011年の大学卒業生の85%が親元に戻っている。そんなことは今までに一度も起こらなかったことだ。自分達の将来が盗まれたことに気付いている若者たちがいるんだ。」

"85% of Class of 2011 have moved back with their parents. That’s something that has never happened before. We have youths who are aware that their future has been stolen."


また、彼は、エジプトのタフリールスクエアで起こった民主化運動にも触れ、人々に以下のようなアドバイスを送っている。



「僕の最大のアドバイスは、我々の運動は新しい流れの一部であると共に、古くから続いているシステムに対する抵抗、あらゆる抑圧のシステムへの抵抗の流れを受け継いでいると気付いて欲しいということです。我々がやっているのは本当はそういうことなのです。…これはプロテストではないのです。これは新しいスペースを創る手段なのです…日常的に我々を蝕む全ての物事に対しての本音の議論を始めるための方法なのです。」

My biggest advice would be to realize that we are a part of something new, but we come from a long tradition of resistance against the system, resistance against the system of oppression of all forms because that’s what we are really doing…This isn’t a protest. This is a way of making a new space…it’s a way to start a discussion, a real discussion on all of the things that ail us on a daily basis.



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2011年11月28日月曜日

Occupy Everywhere シンポジウム

数日前、NY市にあるNew Schoolにて、Nation magazine と The New School の合同シンポジウム、"Occupy Everywhere: On the New Politics and Possibilities of the Movement Against Corporate Power" が行われた。

パネリストとして招待されたのは、オスカー受賞映画監督のマイケル・ムーア(Michael Moore)、世界的ベストセラー『ショック・ドクトリン』著者のナオミ・クライン(Naomi Klein)、ColorLinesの出版社でApplied Research Centerのリンク―・セン(Rinku Sen)、Occupy Wall Street に立ち上げから携わってきたパトリック・ブルーナー(Patrick Bruner)、"Come Home, America"の著者でベテランジャーナリストのWilliam Greider(ウィリアム・グライダー)の5人。パネリスト一人ひとりが異なる切り口からOccupy movementsを評価していて、少々長いが全部見る価値のある内容だ。(見られない場合はこちらから)








今回は、マイケル・ムーアに焦点を当ててみようと思う。

I know a lot of people who say, “It’s gotta get more organized,” “It’s gotta have a plan,” or “What’s the agenda?” “What’s the way forward?” “What’s the next step?” You know it’s enough right now… First of all, it already has some important victories:

It has alleviated despair in this country,

It has killed apathy,

It has changed the conversation in a profound way.

7, 8 weeks ago, all we were listening to was debt ceiling and deficit crisis, and you know, nobody is talking about the destruction any longer.








多くの人が言っている。「もっと組織化するべきだ」とか「作戦を練るんだ」、または「狙いは何なんだ?」とか「どうやって前に進むんだ?」「次のステップは何だ?」
今はこれでじゅうぶんなのに…。第一、この運動は既に幾つかの重要な勝利を得ているじゃないか。
       この国の絶望を和らげたこと、
       無関心を取り除いたこと、
       会話を大きく変えたこと。
現に、7、8週間前は我々の耳に入ってきたのは国債の上限と負債超過危機の話ばかりだったのに、今ではそんな話は誰もしていないじゃないか。


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When someone asked me the other day,
     “Who organized this?”

And I said, “Well, actually, Goldman Sachs organized it. Citi Bank organized it, BP organized it!!”






この前誰かに、「誰がこの運動を始めたんだ?」って訊かれたんだ。

僕はこう答えたよ。

「驚くかもしれないけど、実は、ゴールドマンサックス、シティーバンク、BPが始めてくれたんだよ!」


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“You have been occupied by Wall St.
Your homes have been occupied by Wall St.
Your government has been occupied by Wall St.
Your media has been occupied by Wall St.
So, it’s OK for you to say,

‘Not any more!! Those days are over.’

End of the story!!”



シンポジウムの最後に、マイケル・ムーアはまだこの運動に参加していない人たちにこう言っている。


今までウォールストリートに占拠されてきたのはあなたたちの方だ。

あなたたちの家はウォールストリートに占拠されてきた。

あなたたちの政府もウォールストリートに占拠されてきた。

あなたたちのメディアもまたウォールストリートに占拠されてきた。

だから、「これからは違うよ!!占拠されていた日々は終わったんだ。」とあなたちは言っていいんだ。ただそれだけの話だよ!!


(続く…)


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Occupy Wall Street の参加者は本当にバカばかりなのか?

一見の価値あり!!

前にも紹介したVerizonビルに投影された99%のメッセージの舞台裏。Verizonは今年組合潰しで民衆の反感を買った企業。その企業があたかもOWSを宣伝してるかのように見せる皮肉たっぷりのユニークなアイディア。このように頭が切れてクリエイティブな人達が次々と集まってくる以上、僕のOWSに対する期待は大きい。






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世界地図で見るOccupy Wall Street



これは、UKのGuardian紙が発表した、10月18日(OWS開始1ヶ月後)時点での『ウォールストリートを占拠せよ』の世界地図。










11月2日時点でのアップデート。
運動開始1ヵ月半で実に87か国1039箇所に広がっている。(IBU)

2011年11月27日日曜日

Occupy Wall Street と Maxine Greene教授 Part 2

ティーチャーズカレッジの日本人の仲間と始めた『世界から日本へ1000のメッセージ』に寄せてくれたMaxineのメッセージ。




ある時、Maxineが僕にこう訊いた。(*ちなみに彼女はDr. Greeneと呼ばれるのを嫌い、多くの人々に親しみをもってファーストネームで呼ばれている。)

“What do you hope to do when you finish your dissertation?”

 「博士論文を終えた後あなたは何をやりたいの?」
“Well, I’m not sure, but I don’t want to be an academic. I want to be an activist.”
「ええ、まだはっきりとはしてないのですが、学者にはなりたくないと思っています。活動家になりたいですね」、と僕は正直に答えた。

すると、Maxineはこう応えた。

“I hope an academic can be an activist as well.”
「学者でも活動家になれると思いたいわ。」

 唸る想いがした。

確かにそうだ。それはMaxine自身が身をもって示している。学者である前に一人のアクティビスト(活動家)である彼女は、アメリカ社会を蝕む無関心を危惧し、既に1970年代から哲学を通して人々の麻痺した意識の改革に取り組んできた。

1973年出版の名著、Teacher as Stranger(日本語にしたら『よそ者としての教師』という訳が一番近いように思う)では、「哲学をすること」(“to do philosophy”)の重要性を次のように説いている。


“To do philosophy, then, is to become highly conscious of the phenomena and events in the world as it presents itself to consciousness. To do philosophy, as Jean-Paul Sartre says, is to develop a fundamental project, to go beyond the situations one confronts and refuse reality as given in the name of a reality to be produced.”


「哲学をすることとは、世界が自分の意識の前に姿を現す時、そこで起こる現象や出来事に対して高い意識をもつことだ。哲学をすることとは、ジャン=ポール・サルトルが言うように、根源的なプロジェクトをつくることであり、対峙する日常を超え、創られるべく現実の名の下にあたりまえの現実を拒むことだ。」*強調は僕のもの。)


『よそ者としての教師』とは何とも妙なタイトルだと思うかもしれないが、「よそ者」というのは意識の状態を指している。

「よそ者」には変化の無い日常にどっぷりとつかった地元の人間には無い意識の高さがある。我々は、新しい土地に行く時、馴染みのない文化や制度、新しい人々や生活スタイル、見慣れない地形や物事に触れ、何もかもが新鮮に見える。その土地の良い所もたくさん見つかれば、気に入らないことも見つかるかもしれない。そして必然的にたくさんの「なぜ?」という疑問が生まれる。よそ者にとって、目の前の現実とは、地元の人にとってそうであるように、あたりまえなものとは程遠い。
きっとMaxineはこう言いたいのだと思う。

もし我々が、大人には予想もできない子どもの無限の可能性を本当に信じるならば、彼らと接する教師がそのような高い意識で日々の生活を送らねばならない。目の前の現実を、ただ当たり前と受け入れるのではなく、一時的な、これから創られるべく現実としての未知なる可能性を信じ、生徒に教えなくてはならない。

僕が今、Occupy Wall Street (OWS) に参加しているのは、Maxineの影響が強い。
残念ながら今学期初めに肺炎を患い、今でも外部から鼻に入る管によって酸素を摂取している状態のため、彼女は自宅から出ることができない。でも、OWSのような運動を前にして、Maxineの活動家の血が騒がないはずがない。

 もし彼女が元気だったら、すぐにでもLiberty Plazaに駆け付けているだろう。彼女の視点に立って「現実」を見てみたい…。そんな想いが僕の背中を押した。





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Occupy Wall Street と Maxine Greene教授

“Do not wish to be a student in contrast to being a man. Do not study as a student, but as a man who is alive and who cares.”



「生徒であろうとする前に、人間であろう。一人の生徒としてではなく、命の通った、愛情深い一人の人間として勉強しよう。」



これは、Thomas Hayden(トーマス・ハイデン)という一人の学生の言葉だ。彼は、1960年代にアメリカの公民権運動で活躍したStudents for a Democratic Society(民主的社会を目指す学生の会)の創始者で、これは1962年のミシガン大学でのスピーチからの抜粋だ。



この言葉を教えてくれたのはこのブログに何度か登場しているMaxine Greene(マキシン・グリーン)だ。一か月以内に94歳になる彼女は、今いるコロンビア大学ティーチャーズカレッジの名誉教授(教育哲学)で、現役の教授の中ではダントツの最年長だ。実に1917年生まれだ。今を生きる我々の多くにとっては歴史上の人物であるJohn Dewey(ジョン・デューイ)の元隣人であったり、Paulo Freire(パウロ・フレイレ)の誕生パーティーを2回ほど家でやってあげたりしたと言うから驚くばかりだ。



ただ長生きしているだけではない。American Educational Research Association (AREA), Philosophy of Education Society, American Educational Studies Association (AESA), and the Middle Atlantic States Philosophy of Education Societyという4つの学会の会長を歴任、現在11の名誉学位を持つスーパーウーマンだ。(詳しくは彼女財団のHPから)



彼女との最初の出会いは15年前、僕がまだ学部生の時に読んだ彼女のThe Dialectic of Freedomという本だった。様々な文学やアートを織り込んで描き出す独特な哲学観は僕に大きな衝撃を与えた。



2008年にティーチャーズカレッジに入学した時、僕が真っ先に取ったのは言うまでもなく彼女の授業だった。週一回、5th Avenueのセントラルパークが一望できる彼女のマンションで行われる授業では、幅広い年齢層で実に多様な歴を持つ人々がそれぞれの肩書を捨てて集まり、文学やアートが創りだす創造的な空間の中で、人間の根源的な問題を語り合った。



それ以降、何か機会がある度に彼女とダイアローグを続けてきた。






そして今、僕は彼女の助手をしている。

2011年春。卒業式の前に。

(続く…)

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2011年11月26日土曜日

11月27日(日) NHK 『コロンビア白熱教室』に出ます



明日、11月27日(日)オンエア予定のNHK 『コロンビア白熱教室』という番組に出る。教授は、『選択の科学』で知られる盲目の女性教授、シーナ・アイエンガー。第1回のテーマは、「あなたの人生を決めるのは偶然?選択?」だ。



2008年に教員の仕事に区切りをつけて再留学して以来、自分の生き方を通して、生徒たちに伝え切れなかったことを伝えようとしてきた。このブログもその意味合いが強い。こちらで勉強しながら、自分が頑張っている姿を生徒たちに少しでも見せることができたらと思ってきた。



この度、コロンビア大学のビジネススクールの方から、NHK特集する授業に参加しないかとのお誘いを頂き、絶好の機会と思い参加した



授業中は一番発表したうちの一人だったので、もし編集されていなければ少しは映るだろう。



詳細は以下の通り。



Eテレ 

午後6時から6時58分


*ちなみに、5回に渡って放送されるが、5回目、12月25日オンエアの授業にも参加した

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OWSを支持する知識人たち 2 ~『ショック・ドクトリン』 著者 ナオミ・クライン~


Naomi Klein (ナオミ・クライン)
カナダ人ジャーナリスト。
世界的ベストセラーとなった2冊の本、『ノー・ロゴ』 と 『ショック・ドクトリン』 の著者。
『ショック・ドクトリン』 については以前 『ショック・ドクトリン ~日本への警告~』 でも紹介した。東日本大震災後、このブログにて母国日本へ9回に渡って警告を発したが、残念ながら今、TPPという形で日本を蝕もうとしているように思えてならない…。



もし私が知っていることがあるとしたら、それは1%の人間達は危機が大好きだということです。人々がパニックの中、絶望の淵で何をすべきか誰もわからない時、そんな時こそが彼らにとって企業優遇措置の欲しいものリストを押し通す理想な時なのです。教育や社会保険の民営化、公共事業の廃止、コーポレートパワーにとって残された最後の障害の撤廃…。経済危機のさなか、こんなことが世界中で起こっているのです。

そして、唯一この企みを止められるものがあります。そして、幸いにも、それはとても大きいものです。それが99%の人々です。そしてその99%の人々がマジソンからマドリッドのストリートに出て言っているのです。「我々は、あなた方が起こした危機の代償を払うつもりはない。」


If there is one thing I know, it is that the 1 percent loves a crisis. When people are panicked and desperate and no one seems to know what to do, that is the ideal time to push through their wish list of pro-corporate policies: privatizing education and social security, slashing public services, getting rid of the last constraints on corporate power. Amidst the economic crisis, this is happening the world over.

And there is only one thing that can block this tactic, and fortunately, it’s a very big thing: the 99 percent. And that 99 percent is taking to the streets from Madison to Madrid to say “No. We will not pay for your crisis.”


全文は以下の記事から。
Occupy Wall Street: The Most Important Thing in the World Now





More by Naomi Klein:

Naomi Klein: Occupy Wall Street as Shock Resistance

Naomi Klein: Will Occupy Wall Street Mark the Rebirth of the Left?

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2011年11月25日金曜日

OWSを支持する知識人たち ~ コロンビア大学教授、ノーベル賞受賞経済学者ジョセフ・スティーグリッツ ~



“There’s a system where we socialize losses and privatize gains…That’s not capitalism, that’s not a market economy, that’s a distorted economy and if we continue with that we won’t succeed in growing, and we won’t succeed in creating a just society.”

 
「損失を社会化し、利益を民営化するシステムがここにはある…。そんなのは資本主義ではないし、マーケットエコノミーでもない。それは歪んだ経済であり、もしそれを続けたら経済を成長させることもできないし、正しい社会を造ることもできない。」

(詳しくはこちらの記事から…)

2011年11月24日木曜日

Occupy Wall Street メディアが描く偏った参加者像

UC-DavisPepper Spray Copのパロディー。
専門サイトまでできた。面白すぎる。




今、NYにいながら連日のようにOccupy Wall StreetOWS)のことを書いているが、日本ではどのような情報が流れているのかも気になっている。


「ウォール街を占拠せよ」をキーワードとするGoogle Alertで僕の所に入ってくる日本のニュースは、面白いことに「ウォール・ストリート・ジャーナル」が非常に多い。これでこの運動に好意的であったら非常に面白味があるのだが、残念ながらネガティブなイメージ描写の記事ばかりだ。


反ウォール街運動、米民主党が抱えるジレンマ(10月25日)では、「長年マリファナ合法化運動に携わってきたべーリンさん」や「テントの前でシャツも着ずに座ってローリング・ストーンズを聴きながら」応えた23歳の若者を選んでインタビューし、他にも「無料の食事や安全な睡眠場所を求めるホームレスや精神疾患者」や「反ユダヤ主義的な言葉をぶちまけ始めた」女性の話をピックアップし、会党も反ウォール街運動も根底にあるものは同じ(11月15日)では、この運動は「若くてだらしのない、左派の失業者の集まりだとみられている」と報じている。


今日も、「占拠」に限界―新たな段階に入る反格差運動(11月23日)という記事がアラートされてきた。ひとまず上の記事を読んで頂き、その後で以下に続く僕の批判的見解を読んで頂きたい。





まず驚いたのは【アメリカ最新事情】という副題を付けているのに、1週間以上も前のことを言っていること。報道上の手続き等いろいろ厄介なことがあるかとは思う。でも、だとしたら【最新情報】と呼ぶのは間違っている。このような運動は生命体のように、刻一刻と変化している。1週間以上も前のことをあたかも今起こっている事実のように報じることは、運動の行方を扇動しかねない。はっきり言ってこれは自慢じゃないだが、僕はテント村の強制撤去が始まった2時間後には既にブログにアップしている。


申し訳ないが、的も外れているように思う。『最大の意義』でも書いたように、Zuccotti Parkの占拠は象徴的なアクションに過ぎない。だからどうだというわけではない。


事実も間違えている。記事は、「ズコッティ公園は、数百人の警官と鉄バリケードにびっしりと取り囲まれ」と書いているが、実際の警官の数は1000人以上であり、この過剰とも思える反応に注目したら、記事の内容は全く変わってくるだろう。


強制撤去の舞台となったZuccotti Parkはウォール街のビルとビルの間にあり、決して大きい公園とは言えないし、宿泊している人数も取るに足らない。それなのになぜ1000人以上もの警官を導入したのだろうか。前前回に投稿したOccupy Wall Streetのポテンシャル』でも書いたように、それは逆に言えば、この運動が権力者たちをも脅かすレベルにまで拡大したことを物語っている。


このような点は、10月9日の時点で、プリンストン大学のノーベル賞受賞エコノミスト兼NY Timesの人気コラムニストであるPaul Krugmanが、Panic of the Plutocratsという記事で既に指摘している。(ちなみに、‘Plutocrats’とは、Citi Groupが外部には内密に超大口の顧客に敬意を払ってを命名したもので、世界中の富を自在に操る1%の人間のこと。)Plutocratsのオーバーリアクションを指して彼は次のように言っている。




“So who’s really being un-American here? Not the protesters, who are simply trying to get their voices heard. No, the real extremists here are America’s oligarchs, who want to suppress any criticism of the sources of their wealth.”


「アメリカ人らしくない行動をしているのはどっちだ?自分達の声に耳を傾けさせようとしているプロテスター達ではない。真の過激派は、自分達の富に対する如何なる批判も抑圧しようとするアメリカの少数独裁者達だ。」




また、問題のウォールストリート・ジャーナルの記事は、「衛生上、安全上」の問題を考慮してOWSの強制撤去したと述べるブルームバーグ・ニューヨーク市長のことはそれ以上言及していないが、ブルームバーグ自身がアメリカで12番目のPlutocrat(推定資産1兆5000億円)であることを語らずにこのニュースを正当に評価できようか。


更に、この記事もまた、偏ってネガティブなOWSの参加者のイメージを描写している。確かに、麻薬をやってそうな人物も、精神異常者も中にはいる。それは99%というinclusiveな枠組みを運動の在り方として選んだのだから仕方あるまい。


でも、もしそのような人物ばかりだったら、この運動はなぜここまで国内外の幅広い人々の支持を得ているのだろうか?


もしこの運動の象徴でもあったLiberty Plazaのテント村がこのようなネガティブなエネルギーに満ちた場所であったなら、なぜ多くの知識人やセレブリティー達が自分の名声を懸けてまでPlazaを訪れ、賛同を表明しているのだろうか。


答えは、この運動にはたくさんの優秀な若者も参加しているからに他ならない。主要メディアが彼らにスポットライトを当てていないだけだ。


以下のビデオがその典型的な例だ。OWSに否定的なニュースばかり流しているFOX Newsのレポーターが、インタビューした一人の青年に完全にこけにされているシーン。もちろん、FOXはこれを報じなかったのだが、FOXのカメラマンの後ろでOWSのメディア班が独自にカメラで撮影したこの動画がYou Tube上で話題となった。






(ちなみに、FOX Newsはあまりにも誤情報が多いため、カナダでは今年から放送禁止とされた)


以下のビデオでは、ウォールストリートの元デリバティブトレーダーで、Global Revolution TVの創始者の一人がフィーチャーされている。彼らの画期的なアイディアと手法は市民革命の在り方を大きく進化させた。なぜこのような人たちにフォーカスしないのだろう。






以上、日本のウォールストリートジャーナルの偏見を批判してきたが、嬉しいことに好意的な記事も見つけることができた。上で紹介してきた記事と比べて読むと、同じ運動について書いてるとは思い難いくらいだ。






次回は、自分達の名声を懸けてまでOWSに対する賛同を表明している数多くの知識人やセレブリティー達にスポットライトを当ててみたい。


(続く…)




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2011年11月23日水曜日

Occupy Wall Street 予想される今後の展開

NY市警よ、ウォール街の傭兵になるな」
というメッセージを掲げる元警察署長(DailyMail)

Occupy Wall Street運動は今後どのような方向に向かっていくのか。次のステップを大胆に予想してみたい。

今、一番必要とされているのは、政府に都合の良いように使われている警察の ‘non-cooperation’ (非協力)だと思う。

1920年、ガンジーは、3億1500万人のインド人がほんの10万人以下の白人に支配されていることに注目して、‘non-cooperation’ の重要性とその可能性を語った。白人はインド人が提供する金と労働なしには何もできないのだ、と。

後に彼は次のように言っている。

“All exploitation is based on the cooperation, willing or forced, of the exploited…”


「自主的にせよ、強制にせよ、全ての搾取は搾取される側の協力の上に成り立っている。」

今、ここまで広がっていてもまだ政府がこの運動をある程度牽制できているのは、警察による協力があるからだ。しかし、1%の声を優先的に反映する政府による統治は、警察の ‘non-cooperation’ と共に崩壊するだろう。

既に、少しずつではあるがその可能性が見え始めている。


この運動に参加したフィラデルフィア州の元警察署長。以下の番組では、彼をフィーチャーしている。



また、700人以上が逮捕されたブルックリン橋封鎖の際の警察による暴力行為を見て、プロテスター達を守りに来た退役軍人たちもいる。 



“2nd Time I’ve fought for my country. 1st time I’ve known my enemy.”

以下は、一人の海兵隊員が警官30人を相手に説教するシーン。You Tubeに掲載されて以降話題騒然となった。



また、イラク帰還兵が重傷を負ったカリフォルニア州オークランドの警察組合は、市長に対する公開状を発表している。その中で組合側は、この運動に賛同する市職員によるストライキを指示しておきながら、同じ市職員であるはずの警察だけにはその取り締まりを要求した市長のリーダーシップを疑問視し、このように言っている。

We, too, are the 99%...Is it the City’s intention to have City employees on both sides of a skirmish line?”

我々も99%の人間だ…。散兵線の両側に市の職員を置くことが市の意図するところなのか?」

もしかしたら、警察が政府の命令を無視して、市民を守るという本来の仕事に戻る日は、そう遠くないかもしれない。

2011年11月22日火曜日

Occupy Wall Street のポテンシャル



過去2回に渡り、様々なメディアで報じられているOccupy Wall Street (OWS) 運動の共通点について書いてきた。最近特に目立つのは、政府との衝突が増えていることだ。


先月、10月1日、ニューヨークではOWSのデモ隊がブルックリン橋を行進。それに対して、NY市警は実に700人を逮捕するという過剰とも思える措置で対応。アメリカ史上最大級の一斉逮捕となった。


そして、mmさんが 『Occupy Wall Street最大の意義』 に対するコメントで書いてくれたように、最近はこの平和的(非暴力)運動に対する ‘police brutality’ (警察の暴力的弾圧)がニュースの一面を飾ることが多くなっている。

10月25日にはカリフォルニア州オークランドのデモで、イラク戦争退役軍人のScott Olsenが警察隊から撃ち込まれた物体を頭に受け、頭蓋骨骨折の重傷を負った。




11月15日の ‘Liberty Plaza’ テント村の強制撤去については既に書いた通りだ。

以下はUniversity of California-Davis校でのペッパースプレー事件の動画だ。



ただ座りこみをしているだけの大学生たちに対してペッパースプレーを吹きかけるというこの事件は、全米を震撼させた。結果的に、警官2人が停職処分になったという。

なぜ政府はこれほどまでに重厚な警戒態勢をしいているのだろうか?

アメリカ国内でも、未だに多くの人々がOccupy Wall Streetを取るに足らない運動と見ている。しかし、これらの政府や警察の過剰反応こそがこの運動のポテンシャルを何よりも示唆しているように思う。

以前 『日本への警告』 で紹介した『ショック・ドクトリン』の著者、ナオミ・クライン(Naomi Klein)は、ガンジーが示した非暴力民衆運動が成功する道筋を引き合いに出して、この運動の行方を占っている。

ガンジーは言った。


“First they ignore you, then they laugh at you,

then they fight you, then you win.”


「権力者たちは最初は無視し、次に嘲笑い、最後には闘いを挑んでくる。
そうなったらもう勝利はこちらのものだ。」

Occupy Wall Streetが正しい方向に進んでいることは言うまでもない。

Occupy Wall Street 人々のメッセージ


         Hear the voices of the 99%!!


2011年11月21日月曜日

Occupy Wall Street 最大の意義

March on Brooklyn Bridge (NY Times)

  様々なメディアで報じられている共通点として、次に、この運動を通して何をしたいのか、その目的がはっきりしないということがメディアで批判されている。


99% vs. 1%という大きな枠組みはわかる。でもWall Street近くのZuccotti Park‘Liberty Plaza’)を占拠していったい何になるのだ?」と彼らは問う。


僕自身も最初はわからなかった。しかし、デモに参加し、いろいろ調べていくにつれ、これも的外れな批判であることがわかってきた。

 第一に、Zuccotti Parkの占拠は象徴的なアクションに過ぎない。だからどうだというわけではないのだ。


 Wall Streetの占拠というのも、別にウォール街を金融街として見ているわけではなく、アメリカ社会における権力の象徴と見ているのだ。もちろんウォール街で何かをいじくったところで政治が動かなければ何も変わるわけはない。でも、その政治を動かしているのはウォール街の中枢にある大銀行や証券会社のトップや金融ロビーイスト達だ。そこまで見据えて首都ワシントンではなくあえてウォール街を選んだのだと僕は思っている。


Liberty Plazaテント村の強制退去後、高層ビルの上からその汚さに文句を言う1%

「わかった。だとしても、ウォール街でデモをしていったい何が変わるのだ?」と思うかもしれない。


 しかし、目的がはっきりしないのではなく、目的をはっきりさせていないのだと僕は思っている。目的をはっきりさせてしまえば、それは運動を狭めることになる。しかし、99% vs. 1%という枠組みだけを打ち出すことが、多様な人々をも巻き込むことに繋がっているのだ。そしてこのルースな枠組みこそが、広がるばかりの格差を同じように肌で感じている多くの国々の人々に響いたのだ。
 ピューリッツァー賞受賞ジャーナリストChris Hedgesは、具体的な要求を出していないのはこの運動の強みであるし、要求リストを作るには時期尚早だと言う。どこまでこの運動が膨らみ、どんな大きな要求を提示できるのか、今は様子をうかがうべきだ、と。


Occupy Wall Streetの最大の意義…。


僕が思うにそれは、Corporate State — 企業による企業のための国家 が生み出した、政治さえもお金で買われてしまう民主的空白に、民意を反映できる新しいスペースを創ったことにある。


彼らが創ったそのスペースは今、Zuccotti Parkという公園の枠を遥かに超え、多くの都市、国々、インターネット、数え切れないほどの人々の意識の中まで広がりつつある。


そしてそれは社会的なダイアローグと変化のためのパブリックスペースに他ならない。

(続く…)