2012年7月29日日曜日

シングルファーザー日記④ ~ 切ない ~

 


必死の弁当作戦をもってしても、埋められない心の穴はある。その度に工夫をし、何とかごまかそうとした。



 例えば食事時の静けさ。食卓に母親がいなくなるというのは何とも寂しいものだ。うちの子達は、いたずらしている時と食べてる時だけは静かだ。それでも、父子3人で食べている時の静けさは妙に気になり、音楽の力を借りるようになった。おかげで2人とも朝からたくさん踊り、多少近所迷惑だったかもしれない。



 ちょっとした女の子らしい格好も、工夫をしなければならなかった。母親がいなくなって急におしゃれじゃなくなったなんて思われたらかわいそうだ。可愛い服を常に洗濯しておくようにした。最初はさんざんだったが、髪の結び方も覚えた。カチューシャの便利さも知った。



 4日目くらいに、バスがなかなか来なくて、愛音を学校に迎えに行くのがいつもより多少遅くなった時がある。その時ばかりは、僕の顔を見ても「ママにあいたい~っ!!」と泣かれてしまった。きっと、友達の多くが、迎えに来たお母さん達と嬉しそうに帰るのを見て、母親の温もりを思い出してしまったのだろう。



次の日、次女の美風はアパートの管理人さんに預けて、僕は自転車で迎えに行った。自宅がある117th StreetからHarlem School of Artsがある140th Streetまでは上り坂がひたすら続くが、帰りは気持ちがいいはずだった。



一番に迎えに行き、今日は美風を置いてパパの自転車で迎えに来たよ、と愛音にヘルメットを渡すと、「ヤッターっ!!」と無邪気に喜んでくれた。頑張った甲斐があった。帰り道、愛音は両手を広げて風を体いっぱいに受け、「とりさんみたいだねぇ~!」と上機嫌だった。



その日から迎えは人よりも早く行くようにした。



 3週間目。愛音のサマーキャンプも終わり、美風と一緒に愛音も近所の日本人プレイグループ、『ココからKIDS』に良き友人であるしげみさんに連れて行ってもらった。その日の午後、愛音はしげみさんのひざをずっと独占していたそうだ。



その日は、グループの子達の中でも一番年上だった愛音(4歳半)。



想像すると、何だか切なくなってしまった。

 

 (続く…)

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