2009年11月18日水曜日

私はなりたい ~1年C組 11 / 1 / 2004~






初めて中学一年生を担任させてもらった時、素直で、キラキラしている子どもたちを前に、いつかこの35人全員による詩を残そうと心に決めた。以下は一人ひとり違った感性、違った将来を夢見る子たちによるモザイク詩だ。





私はなりたい。


どこまでも尽きることのない、深みのある宇宙に、僕はなりたい。

青白くて、すごく熱い、1番キラキラ光っている星に、私はなりたい。

あたたかい光で見守ってくれる、そんな月に、私はなりたい。

いつも明るく光っている太陽に、私はなりたい。

あったかくてポカポカしてる太陽に、私はなりたい。

暖かい日ざしで陸を見守れる、優しい太陽に、私はなりたい。

とっても青い、のんびりしてられる空に、僕はなりたい。

上から都会、田舎、海を見わたせる、青く澄んだ空に、私はなりたい。

笑顔も泣き顔もすべて見せ、世界中を受け入れる広い空に、私はなりたい。

いつもぷかぷか浮いている、様々な形の雲に、僕はなりたい。

自由に空を飛んで、どこにでも行ける鳥に、僕はなりたい。

空を自由に飛べる、力強いワシに、僕はなりたい。

速く、自由に空を飛び回る鳥に、僕はなりたい。

空を飛んでいろんな所に行きながら幸せを運ぶ青い鳥に、私はなりたい。

幸せを望んだら幸せにしてくれる青い鳥に、私はなりたい。

全ての国が平和に、不幸な人がいなくなるように
幸せを運ぶ青い鳥に、私はなりたい。

ゆっくりと地上を見下ろせる、世界で一番大きい山に、僕はなりたい。

世界中をめぐり、世界中の人の心の背中を
そっとおすような希望の風に、僕はなりたい。

墜落・ジャック率0%で、毎日客を安全に送りながら
世界を行き来できる飛行機に、僕はなりたい。

人々を迷うことなく進路に導き、何年たっても光り続ける灯台の光に
僕はなりたい。

寒い時にあったかく、暑い時にはすずしい、やさしいひかげ、
ひなたに私はなりたい。

広い心を持った、青々とした海に、私はなりたい。

家では好きなだけ寝て、エサがもらえて好きな時に好きなだけ出かけて、自由気ままに生活している、人や物に害を与えない外出猫に、私はなりたい。

足がとっても速く、かっこいいチーターに、僕はなりたい。

長生きできる、マイペースなカメに、僕はなりたい。

シャーペンだけど、いちよーなんでもできそうなリンゴ王子のシャーペンに
私はなりたい。

かわいがられて大切にしてもらえる、
恋人がいるペアの男の子熊のぬいぐるみに、私はなりたい。

坂道を走るととても気持ちのいい自転車に、僕はなりたい。

人間そのものを表し、みんなによく使われるすばらしいことわざに
僕はなりたい。

長生きしていろんな時代のことがわかる、生命力のある樹木に
僕はなりたい。

見た人が心から喜ぶような、きれいな桜に、僕はなりたい。

見ているだけで幸せな気持ちになれる、きれいな花に、私はなりたい。

踏まれても曲げられても成長し続ける、丈夫で強い雑草に、僕はなりたい。

いろいろな命をつくりだす土に、私はなりたい。

さまざまな生物に必要な、生命の水に、僕はなりたい。

私はなりたい。


1年C組 11 / 1 / 2004





 
 





9 件のコメント:

  1. 大裕先生

    ゆったりとマイペースだけど、確実に懸命に進むカメに、私はなりたい。

    心が暖かくなりました!
    1月に帰国されるなら、館山マラソンはいかがですか?笑

       穴澤智美

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  2. 子供たちの感性、大好きです。
    とっても癒されました♪♪
    素敵な詩をありがとうございます。

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  3.  午前10:23。たった今図書館に着きました。日本は午前0:23だ。

    穴澤さん、
     もしよかったら誰かに授業もらってやってみたら?
    1時間でできるよ。大まかだけど、指導書みたいなものも作ってみたりした。他にも、自分もクラスでやってみたい!という人がいたら、声をかけて下さいね。メールでお送りしますよ。

    >ゆったりとマイペースだけど、確実に懸命に進むカメ
    >に、私はなりたい。

    穴澤さんのひたむきな人柄が伝わってきていいね。
    あ、ナイスアイディア!今度ここに集まっているみんなで合作詩を創ろう!
     
     p.s.若潮、参加したいなぁ。でも残念ながら1月後半にはもう授業始まっちゃうんだよね。


    寺澤さん、
     ちょっと大人じゃ書けない感性だよね。新吾が教えてくれた "Describe the moment" に通ずるものがある。彼らの13歳の真実だよね。

     寝る前のあなたにこのメッセージが届きますように…。

             大裕

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  4. えー みんな詩人だねー。なんかReadingのテストスコアーがどうのこうのって必死になってる、政治家、教育者が不思議な存在に見てくる。

    かおる

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  5. こども達の優しい素直なエネルギーが伝わってきます。
    癒されますね。

    今日、友人をきっかけに、あらためてじっくり聴いた
    Whitney Houstonの歌の歌詞と、
    この1年C組みのこども達のかわいい笑顔が、
    わたしの中でクロスしたので、

    歌詞の一部を残します。

    I believe that children are our future.

    Teach them well and let them lead the way.

    Show them all the beauty they possess inside.

    Give them a sense of pride, to make it easier.

    Let the children's laughter,

    remind us how we used to be.

    "Greatest Love of All" by Whitney Houston

    私たち大人も、彼らと同じだったことを思い出そう。

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  6. すごい感性をもってるね。
     この詩の中には、たくさん”自然”に関する宇宙、風、空、土、太陽、動植物…等々の言葉にあふれてることに時代・世代を感じました。今の中学生は、未来の地球の姿には”緑や青”があふれている風景がイメージされてるんだろうなと。

     私の世代である40代後半~50歳くらいの世代は、小学生・中学生の頃、おそらく未来の地球や街のイメージは、多くの子どもにとっては手塚治の漫画にでてくるような近未来都市だったと思います。緑はなく、宙をうく車が縦横無尽に高層ビル街をぬって走っていて、歩いている人なんていないっていうイメージ。
     きっと60代・70代~の大人たちの子どもの頃、今の子どもが描く未来とは違う言葉が並んでいたんだろうなと。
     それぞれの同世代で共有している文化や教育、時代がこういう詩にも現れるんだと改めて感じました。
     
    AKI

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  7. 日本の未来は明るいなぁって思わせてもらえる素敵な詩ですね。

    私もAKIさんと似たようなことを考えました。子どもたちの未来には、自然豊かな世界が描かれているんだなって。もちろん私もまだまだこれからの現役世代ですけど、子どもたちが創っていくこれからの社会が楽しみです。

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  8. みなさんコメントありがとう。

     こういう子どもの純粋さ、宝物だよね。
    子どもたちが社会の良いことも悪いこともいろいろ経験しながらも純粋さを保てるような環境を整えてあげることが我々大人の大事な役目なのだと思う。

     同時に、大人でも純粋な人はたくさんいるのだと子どもたちに教えたい。自分が出会ったかっこいい大人はみんな純粋な人たちばかりだ。

     今度、我々大人の「私はなりたい」をつくりましょう。

               大裕

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  9. 大裕先生

    ぜひお願いします!

    高橋尚子の「風になった日」を読み終えました。
    Qちゃんの夢に向かって真っすぐで純粋な思い、そして人の3倍の努力を実行できる強さ。
    この人に出会わなかったら、「聞く耳」をもつことができていなかったと思います。
    やっぱり憧れの人です。
    いくつか自分に当てはまって、胸が熱くなりました。

    小学校のマラソン大会で1~5年生まで万年2位で、どうしても勝てない相手がいた。でも最後の6年生の時は、ついに1位でゴールすることができた。あの時の空気、感動、達成感は一生忘れられません。

    私もまだまだ走り続けます!

       穴澤智美

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