2010年1月30日土曜日

「こなす」のではなく

セントラルパークの south edge にある銅像



冬休みが終わり、1月20日から春学期が始まった。
ただ、最初の2週間はクラスの 「ショッピング期間」 だ。この2週間で興味のある様々なクラスに顔を出し、どのクラスを取るのかを最終的に決める。自分も、さんざん迷ったあげく、期限ぎりぎりで最終決定をした。そして、今週から本格的に授業が始まったのだが、最初の週だというのに300ページほどのリーディングが宿題として出された。



それらのリーディングに埋もれながら気付いたことがある。
去年の自分とのメンタリティーの違いだ。



博士課程1年目だった去年、10年ぶりの大学院、英語での学びに慣れようと必死だった。読むのも書くのも遅いし、特に読むことに関しては、出された宿題を「こなす」ことで精いっぱいだった。



だが今は違う。このリーディングから何が学べるのだろうか、教授はここから何を教えてくれようとしているのだろうか、などと考えながらページをめくる。宿題は宿題とは思わず、教授たちが与えてくれている学びの機会だと思えるようになったのだ。



これはおそらく去年からできていたと思うが、授業での発表も余計な計算はしていない。特にマスターの頃は、成績のために発表をしていたように思う。今でも緊張をしたり、 「アピール」 という余計な意識が頭をよぎることがあるが、自分が本当に訊きたいことを質問し、試してみたい意見を放つように心がけている。



「自分は今、何を学べているのか」 という本質的な問いを前に、成績など何の意味も持たない。なにせ、自分はこの勉強に人生を懸けているのだ。スポンジのように学ぼう、そう思っている。





さて、ここらで今学期の授業ラインアップでも紹介しておこうか。

最初のクラスは Educational Policy Making and the Courts (教育政策と司法) というクラス。先学期も取った Professor Michael Rebell 先生の授業で、 Teachers College と Columbia Law School のジョイントクラスだ。 Rebell 先生は我が Teachers College の教授でもあり、現役の弁護士でもある。それもただの弁護士ではない。数年前には Campaign for Fiscal Equity (CFE) v. New York というニューヨークの裁判で、NY市の貧困地区のあまりにも乏しい教育資金の状況を訴え、NY州を相手取り $5.6 billion (1ドル100円としても5600億円) というお金を勝ち取った敏腕弁護士だ。このクラスでは、アメリカで近年目立っている、司法の政策への介入の是非を吟味する。州政府による政策がその州の憲法に違反する時、司法はどこまで介入すべきなのか。また、司法には政策に効果的に介入するキャパシティーがあるのか…、とそのような問題を討議していく。



二つ目は Educational Policy Analysis (教育政策分析) というクラス。 Professor Luis Huerta という、なかなか気合の入った教授が担当する。授業の申し込みが始まって15分で全ての席が埋まってしまうという人気のクラスだ。「かなり厳しい」という評判にもかかわらずそこまで人気が高いところから、 Professor Huerta の教授としての質の高さがうかがえる。このクラスでは様々な教育政策を分析し、自ら政策をシュミレーションしていく。特に policy writing のノウハウを教えてもらえるそうで楽しみだ。



三つ目は Living Justice, Teaching Justice: Studies of World Leaders as Visionary Teachers (正義を生きる、正義を教える: 明日を見据える世界のリーダーに学ぶ) という授業だ。マザーテレサ、ガンジー、ダライ・ラマ等、そうそうたるリーダーたちの視点から明日の教育を考える授業だ。教員時代の学びを振り返り、自分の哲学を深める機会にしたいと思っている。



最後に、 Professor Jay Heubert との independent study (個人授業) だ。1年前から何度も何度もやり取りを繰り返し、やっと実現にこぎつけた。 Professor Heubert も Professor Rebell 同様、 Teachers College の教授であると共に現役の弁護士でもある。話し合いの結果、 Legal Efforts to Promote School Reform (教育改革のための法的試み) というテーマで教えてもらえることになった。同じお金を払うのにこんなに贅沢な授業はない。きっとこの授業から何かが芽生えると確信している。



どのクラスも魅力的で、新しい学びを前に今、ワクワクしている。

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