2011年11月24日木曜日

Occupy Wall Street メディアが描く偏った参加者像

UC-DavisPepper Spray Copのパロディー。
専門サイトまでできた。面白すぎる。




今、NYにいながら連日のようにOccupy Wall StreetOWS)のことを書いているが、日本ではどのような情報が流れているのかも気になっている。


「ウォール街を占拠せよ」をキーワードとするGoogle Alertで僕の所に入ってくる日本のニュースは、面白いことに「ウォール・ストリート・ジャーナル」が非常に多い。これでこの運動に好意的であったら非常に面白味があるのだが、残念ながらネガティブなイメージ描写の記事ばかりだ。


反ウォール街運動、米民主党が抱えるジレンマ(10月25日)では、「長年マリファナ合法化運動に携わってきたべーリンさん」や「テントの前でシャツも着ずに座ってローリング・ストーンズを聴きながら」応えた23歳の若者を選んでインタビューし、他にも「無料の食事や安全な睡眠場所を求めるホームレスや精神疾患者」や「反ユダヤ主義的な言葉をぶちまけ始めた」女性の話をピックアップし、会党も反ウォール街運動も根底にあるものは同じ(11月15日)では、この運動は「若くてだらしのない、左派の失業者の集まりだとみられている」と報じている。


今日も、「占拠」に限界―新たな段階に入る反格差運動(11月23日)という記事がアラートされてきた。ひとまず上の記事を読んで頂き、その後で以下に続く僕の批判的見解を読んで頂きたい。





まず驚いたのは【アメリカ最新事情】という副題を付けているのに、1週間以上も前のことを言っていること。報道上の手続き等いろいろ厄介なことがあるかとは思う。でも、だとしたら【最新情報】と呼ぶのは間違っている。このような運動は生命体のように、刻一刻と変化している。1週間以上も前のことをあたかも今起こっている事実のように報じることは、運動の行方を扇動しかねない。はっきり言ってこれは自慢じゃないだが、僕はテント村の強制撤去が始まった2時間後には既にブログにアップしている。


申し訳ないが、的も外れているように思う。『最大の意義』でも書いたように、Zuccotti Parkの占拠は象徴的なアクションに過ぎない。だからどうだというわけではない。


事実も間違えている。記事は、「ズコッティ公園は、数百人の警官と鉄バリケードにびっしりと取り囲まれ」と書いているが、実際の警官の数は1000人以上であり、この過剰とも思える反応に注目したら、記事の内容は全く変わってくるだろう。


強制撤去の舞台となったZuccotti Parkはウォール街のビルとビルの間にあり、決して大きい公園とは言えないし、宿泊している人数も取るに足らない。それなのになぜ1000人以上もの警官を導入したのだろうか。前前回に投稿したOccupy Wall Streetのポテンシャル』でも書いたように、それは逆に言えば、この運動が権力者たちをも脅かすレベルにまで拡大したことを物語っている。


このような点は、10月9日の時点で、プリンストン大学のノーベル賞受賞エコノミスト兼NY Timesの人気コラムニストであるPaul Krugmanが、Panic of the Plutocratsという記事で既に指摘している。(ちなみに、‘Plutocrats’とは、Citi Groupが外部には内密に超大口の顧客に敬意を払ってを命名したもので、世界中の富を自在に操る1%の人間のこと。)Plutocratsのオーバーリアクションを指して彼は次のように言っている。




“So who’s really being un-American here? Not the protesters, who are simply trying to get their voices heard. No, the real extremists here are America’s oligarchs, who want to suppress any criticism of the sources of their wealth.”


「アメリカ人らしくない行動をしているのはどっちだ?自分達の声に耳を傾けさせようとしているプロテスター達ではない。真の過激派は、自分達の富に対する如何なる批判も抑圧しようとするアメリカの少数独裁者達だ。」




また、問題のウォールストリート・ジャーナルの記事は、「衛生上、安全上」の問題を考慮してOWSの強制撤去したと述べるブルームバーグ・ニューヨーク市長のことはそれ以上言及していないが、ブルームバーグ自身がアメリカで12番目のPlutocrat(推定資産1兆5000億円)であることを語らずにこのニュースを正当に評価できようか。


更に、この記事もまた、偏ってネガティブなOWSの参加者のイメージを描写している。確かに、麻薬をやってそうな人物も、精神異常者も中にはいる。それは99%というinclusiveな枠組みを運動の在り方として選んだのだから仕方あるまい。


でも、もしそのような人物ばかりだったら、この運動はなぜここまで国内外の幅広い人々の支持を得ているのだろうか?


もしこの運動の象徴でもあったLiberty Plazaのテント村がこのようなネガティブなエネルギーに満ちた場所であったなら、なぜ多くの知識人やセレブリティー達が自分の名声を懸けてまでPlazaを訪れ、賛同を表明しているのだろうか。


答えは、この運動にはたくさんの優秀な若者も参加しているからに他ならない。主要メディアが彼らにスポットライトを当てていないだけだ。


以下のビデオがその典型的な例だ。OWSに否定的なニュースばかり流しているFOX Newsのレポーターが、インタビューした一人の青年に完全にこけにされているシーン。もちろん、FOXはこれを報じなかったのだが、FOXのカメラマンの後ろでOWSのメディア班が独自にカメラで撮影したこの動画がYou Tube上で話題となった。






(ちなみに、FOX Newsはあまりにも誤情報が多いため、カナダでは今年から放送禁止とされた)


以下のビデオでは、ウォールストリートの元デリバティブトレーダーで、Global Revolution TVの創始者の一人がフィーチャーされている。彼らの画期的なアイディアと手法は市民革命の在り方を大きく進化させた。なぜこのような人たちにフォーカスしないのだろう。






以上、日本のウォールストリートジャーナルの偏見を批判してきたが、嬉しいことに好意的な記事も見つけることができた。上で紹介してきた記事と比べて読むと、同じ運動について書いてるとは思い難いくらいだ。






次回は、自分達の名声を懸けてまでOWSに対する賛同を表明している数多くの知識人やセレブリティー達にスポットライトを当ててみたい。


(続く…)




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