2009年8月30日日曜日

失うものは何もない

野球部の生徒たちと
この代を境に、多くの選手が高校でも野球を続けるようになった。


 「渋い」 と言われるかもしれないが、僕が生まれて初めて自分のお金で買ったCDは、高校生の時に買ったJanis Joplin(ジャニス・ジョップリン)のベストアルバムだ。

Me and Bobby McGeeという曲の中に僕が好きな歌詞がある。
“Freedom's just another word for nothing left to lose.” 
日本語に訳せば、「自由ってのは、言い換えれば失うものが何もないということ」 といった感じだ。自由奔放な人生を送ってきたジャニスがこの一節を酒臭そうに歌うのがまたかっこいい。

この、一見、無責任そうで自暴自棄っぽい 「自由」 について考えさせられたことがある。自分が教員を辞めると決めた時だ。

大好きだった教員の仕事を辞め、新しい一歩を踏み出そうと決意した最後の一年、僕は今までに感じたことのなかった自由を感じていた。その一年、今考えるとたくさん無茶なことをした。正直、クビになることなど恐れていなかったのだ。最後にどんな仕事をし、生徒たちに何を残すのか、そればかり考えていた。生徒間の人気、親からのクレーム、上司受けなど、打算的なことは一切考えず、自分の信念のみを頼りに仕事にあたった。

初めて、自分が真っ直ぐになれた気がしていた。

先ほど、「一見、無責任そうで自暴自棄っぽい」 と言ったが、この自由は、背負うものが何もない状態を指しているのではないように思う。

逆に全てを背負って勝負することを意味しているのではないだろうか。

それは力強い決意であり、いさぎよさだと思う。
ある時、小関先生に訊かれたことがある。

何故、剣道では20代の若者が60代のおじいさんにかなわないのだと思う?

彼の答えはこうだった。

剣道とは本来、真剣を使って勝負していた侍の道。

生きるか死ぬかの戦いで、「いつ死んでもいい」 と思っている老人に、20代の若者が勝てるわけがない。

血圧が異常に高いのに大酒を飲む小関先生が、酒を飲みながらよく言う言葉がある。

    「我が人生に悔いなし」

そう言い切る彼の生き方にずっと憧れてきた。

ニューヨークという新天地にて、自分の愛する家族、生徒、先生、全ての想いを懸命に背負って勝負しようと思う。

自分はベストを尽くすのみ。結果は天のみぞ知る。

1 件のコメント:

  1. 知らないうちにものすごい勢いでブログがアップしてたんですねー。
    このブログを読んで、またしても私たちの大好きなマキシーン・グリーンの言葉を思い出してしまいました。「自由とはパンを選ばないこと」。自由とは「何でも欲しい物が手に入る、どこでも好きなところに行って好きなことができること」と思われがちだけど、本質的にはそれとは全く逆。「パンを選ばないこと」はこのブログで大裕君が言っているように「失う物は何もない」「いつ死んでもいい」という境地に達することなんだろうし、その状態になって初めて「自分が真っ直ぐ」になれるんだと思います。それが自由。。。自由は厳しい。でもパンよりも大切な物があるのはきっと幸せなことです。
    かおる

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