自分には高校の頃から大切にしてきた宝物がある。Quote Bookと呼んでいる物だ。元はと言えば、16歳で留学を決意した僕に母がくれた自由日記だった。
『人生の先生』で紹介したMr. Walkerとの出会いは、僕の文学に対する情熱を開花させてくれた。いろいろな文学に触れ、ああ美しいな、この言葉忘れたくないなと思う言葉を日記に綴るようになった。それがQuote Bookの始まりだった。
今2冊あるQuote Bookには、文学だけでなく、教育学や、詩や、街で見かけた言葉などから集められた名言が綴られている。それをパラパラと読んでいると、自分がいつどのような言葉に影響を受けたのかが分かり、当時のことが鮮明に思い出される。だから自分にとっては言葉のアルバムのような物で、成長の証しでもある。
言葉は、時に何にも変えがたい贈り物となる。誰かを心から祝福したい時、感謝の気持ちを伝えたい時、大切な友が新たな決意を胸に旅立つ時、誰かに不幸が起こった時、誰かを勇気づけたい時…。そんな時、言葉は自分の代わりに、その人にそっと寄り添ってくれる。
前回の『科学、デューイ、照美』を書きながら、一つの言葉が頭をよぎった。Rainer Maria Rilke(ライナー・マリア・リルケ)というオーストリアの詩人の言葉だ。
Love the questions…
I want to beg you, as much as I can,
To be patient toward all that is unsolved.
Try to love the questions themselves.
Do not now seek the answers
Which cannot be given you
Because you would not be able to live them.
Live the questions now.
Perhaps you will then gradually,
Without noticing it,
Live along some distant day
Into the answer.
Rainer Maria Rilke
疑問を愛しなさい
私の心からの願いだ
解決できないもの その全てを許すのだ
疑問そのものを愛しなさい
自分に与えられない答えを今求めるのではない
あなたはその答えを生きられないだろうから
今は疑問を生きるのだ
そうすれば 少しずつ
知らないうちに
答えの中に生きている
自分を見つける日が訪れるから
ライナー・マリア・リルケ
訳責:鈴木大裕
ステキなお母様ですね。お母さんは、どんな思いで渡したのでしょうね? 既に大裕さんが、文章で表現する才能を見抜いていた?
返信削除ところでいつも考えさせられる引用文を紹介してくれるけれど、自分で詩や小説などを創作したりはしてないの? 旦那様が詩を書き、奥様が曲をつけ、二人の娘さんが歌っているなんて、ちょっと期待をしてしまいます。
AKI